野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました
なんかカレカノみたいだなと思って必死でその考えを消した。絶対にあり得ないし、そもそも好きじゃないし。


でも、たしかに何かの感情が増加している気はしてる。それが好意かなんて分からない。



「じゃあ、名残惜しいけど帰ろっか」



「うん」



私達は靴を履いて昇降口から飛び出た。校門に向かおうとしたときルカくんが「ちょっと待って」と言った。



「何?」



「俺、チャリなんだよね」



「え!そうなの⁉︎」



「うん」



これは初耳だ。私はくるりと回れ右をして駐輪場へと向かった。



「ごめん、わざわざ付き合わせちゃって」



「ぜんぜん、そうしたいって決めたのは私だし」



実際のところは、もう少しルカくんと話したいだけだけど。


自転車を押しながらルカくんが私の隣を歩く。春のそよ風が心地良かった。




「乗っていいよ?」



嘘。本当は乗って欲しくない。もっと喋りたい。私はドキドキしながらルカくんの返答を待った。



「心羽はどうしてほしい?」



ルカくんが出した答えは私の想像の斜め上をいくものだった。


いいのかな本当のこと言って。どうしよう…結構勇気いるな。



「わ、私は…」



「うん」



「わがままだけど…乗って欲しくない。もっと喋りたい。だからゆっくり行きたい」
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