野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました
「15分くらいでできるからそれまでここに居て」



とは言ったものの、どちらもなにもやることがなく、暇を持て余しているので少しおしゃべりをすることにした。


そこで、今更ながらに名前を聞いていないことに気が付いた。


彼も同じことを思ったのか、「名前、なんていうの?」と聞いてきた。



「私は姫野心羽(ひめのここは)。姫に野薔薇の野に心に羽って書くの」



「へ〜、綺麗な名前だね」



人生で初めて綺麗な名前なんて言われたから少し頬が熱い。


そんなことお構いなしに彼は自己紹介をした。



「俺は天堂ルカ(てんどうるか)。天井の天に食堂の堂それから、ルカはカタカナでルカ」


ルカをカタカナで書くことに驚いた。それと同時にもしかして…とある考えが浮かんだ。



「天堂くんってもしかしてハーフ?」



「ルカでいいよ」



「じゃ、じゃあルカ……くん」



「上出来」と言われ頭をわしゃわしゃと撫でられた。


ハーフかという質問を上手く躱されてしまったと思ったが今の私はそれどころじゃなかった。


年頃の私にとって男子を下の名前で呼ぶということに恥ずかしさや抵抗があったからだ。しかも頭まで撫でられてしまった。


恥ずかしさは頂点へと上りつめていた。


そんな頬が紅潮してる私を見て心配になったのか彼は手の甲を私の頬に当てた。
< 4 / 60 >

この作品をシェア

pagetop