野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました
「そういえばさ…」



茉莉花が口を開いた。


大体予想はできる。だから心構えをした。



「恵美のことなんだけどさ、今、校長室にいる。親も来た。心羽の方は…」


私の家のことになった途端、口籠ったのは分かっている。


私の親は連絡がつかなかったんだろう。大丈夫。私の両親は共働きだから。別に今に始まったことじゃない。



「六時頃に連絡つくと思うから大丈夫だよ」



「そう…。じゃあそれまでお喋りしよ?」



「いいよ〜」



それから私達はいろいろなことを話した。


今回の件に関係のないことをいっぱい。


保健の先生に「仲良いね〜」と言って笑われた。するとルカ君が元気よく「はい!」なんて言うもんだからみんなで笑い合った。


ガラガラ


午後六時十分を過ぎた頃、保健室のドアが開いた。



「姫野心羽の母です」



「お母さん…」



お母さんは私を見るなり駆け寄って来た。



「ここちゃん、大丈夫?茉莉花ちゃんもありがとうね。それと君は…」



「天堂ルカって言います」



ルカくんが自己紹介をしてペコリと頭を下げた。



「お母さん、ルカくんも助けてくれたの」



「あら、そうだったの。本当にありがとうございました」
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