野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました
大体の内容は知ってるっぽい。きっと電話越しに聞いたのだろう。


すると、お母さんの目つきが変わった。



「彼女達はどこです?」



きっと恵美達のことを指しているのだろう。


今までに見たこともないような目つきだった。


怖い。直感でそう思った。


絶対怒ってる。


それもそうだろう。愛娘が怪我を負ったのだから。しかもただ負ったというだけではない。負わされたのだ。


怒るのも無理はないだろう。



「校長室です」



シーンと静まり返っている中、保健の先生が答えてくれた。



「ここちゃんは寝てていいからね?お母さんが行ってくるから」



「やだ。私も行きたい」



こんなのダメに決まってる。我儘だって分かってる。


でもやっぱり会って話がしたい。


私は本気だった。


それが伝わったのかお母さんは悩んだ末、「分かった」とだけ言った。



茉莉花やルカ君に酷く心配された。


でも私は大丈夫だ。


私は立ち上がった。


まだ体の節々が軋むように痛んだ。


それでも私は立ち上がった。


恵美達に会うために。


私は保健室を出て、お母さんと一緒に廊下を歩いた。


とても居心地が悪い空気だった。


保健室から校長室まではそう遠くない。
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