野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました
そんなシーンとしてる廊下にトトトトッと音がした。不思議に思い振り返ると、そこには駆けているルカくんの姿があった。



「え?どうしたの?何か伝え忘れたことでもあった?」



「違う。やっぱり俺も行く」



ん?オレモイク?


一瞬、意味が理解できなかった。でも落ち着いて考えてみてやっと理解することができた。



「分かった」



私は迷わず了承していた。はっきり言って不安だったのだ。いくらお母さんがいるからと言っても、心細かった。



「でも、なんで急に?」



「何かあったときに男の俺が守ってやらなきゃって思ったから。ダメだったか?」



きゅんっと心臓が跳ねた。



「そ、そんなことないよ。むしろ嬉しいというか、その……ありがとう」



「おう」



守ってやらなきゃ、か。今回ばかりはお言葉に甘えるとしよう。


校長室の前に立つ。



「ここちゃん、開けるわよ」



「うん」



ガラガラという音と共に明るい光と暗い空気が流れ込んできた。


ここに恵美たちがいるんだ。そう思うと心臓がゾクリとした。


「失礼します」


お母さんの後に私とルカくんも続く。


校長先生に促され、フカフカのソファに座った。


恐怖で体が震えていた。顔も上げられなかった。そんなときだった。
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