野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました
ルカくんが私の手の上に自分の手を重ねた。


バッとルカくんを見る。


そこにあるルカくんの顔は少し微笑んでいた。そして「大丈夫」と口パクで伝えてくれた。その優しさにジーンと胸が熱くなった。


「この件については…」と校長が口を開く。それをお母さんが制した。



「説明はいいです。何故このようなことをしたのですか?」



シーンと場が静まった。


恵美のお母さんらしき人が「ほら、恵美」と言うまで恵美は硬直していた。



「ル……色…使っ……から」



「恵美、もう少しはっきり言いなさい」



「だから!ルカくんに色目使ってたから!」



その場が唖然とした。そんなことでここまでするか?という目線が恵美や、共犯者たちに向けられた。


横を見るとお母さんが震えていた。泣いているのではないだろう。きっと怒りで震えているのだ。怖い、そう思った。


それを感じ取ったのか、ルカくんが手にギュッと力を込めてくれた。


また心臓がきゅんと跳ねる。


でもそれがいけなかった。


「またそうやって!手なんか握って!見せつけのつもり?ウザいんだよ!」そう言いながら恵美が立ち上がりこちらへ歩を進めてきた。


やだ。叩かれる。直感的にそう思った。


全部がスローモーションのように映る。


バチン‼︎
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