野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました
鈍い音が校長室に響いた。


……あれ?痛くない。


ふと上を見上げるとそこにはルカくんの姿があった。一瞬で状況を理解する。



「ルカくん‼︎」



ドサッ


「心羽ぁ」



ルカくんが私に倒れるように抱きつき、弱々しい声で私の名前を呼んだ。


私はただただルカくんの背中に手を回して抱き締めていた。


少し経ってから「ごめんな」とだけ言い、私の隣に座った。



「恵美!なんてことしてるの!」



「だって、だって、」と言いながら恵美は泣きじゃくっていた。



「ルカくん、大丈夫?見せて」



「これくらい大丈夫だって」



「でも、痛かったんでしょ?」



ルカくんはコクリと頷き、患部を私に向けてくれた。


少し赤くなってるけど腫れてるって訳ではなさそうで安心した。



「腫れてないっしょ」



「うん」



「ってことなんで、俺は全然大丈夫っす」



きっと恵美に対して言ったのだろう。恵美のお母さんが必死にお辞儀をしていた。


それから私達は五人の話を一人ずつ聞いた。


恵美に釣られてやっただとか、恵美が全部悪いだとか、四人はそんなことばかり口にした。


それに比べて恵美は終始黙っていた。自分のやったことの非道さを認めているのかどうかなんて分からない。
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