野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました
でも、微かに泣いているのは事実だった。


くだらない四人の話を最後まで聞き、謝罪もされ、私達はやっと解放された。


まぁ、厳密に言うと私とルカくんだけなのだが。お母さんは書き込む書類があるとかで残された。


私はルカくんを引っ張りながら、足早に校長室を出た。理由は勿論保健室にルカくんを連れて行くためだ。


腫れてないからと言って油断はできない。



「心羽、大丈夫だって〜」



ルカくんはこんなことを言っているが私を庇って負った怪我だ。責任っていうものがある。



「私が大丈夫じゃないの」



なんとかルカくんを引っ張りながら保健室に到着した。


ガラガラッと扉を思いっきり開ける。



「先生っ!怪我しました」



茉莉花が一番に反応した。そして「心羽、心羽、だからあれ程行くなって言ったのに」と涙ながらに言われた。それもそうだろう。「ルカくんが」をつけ忘れたのだから。



「茉莉花待って、落ち着いて」



「どこ?どこ怪我したの?」



「茉莉花、ストップ!怪我したの私じゃない、ルカくん」



茉莉花の動きがピタリと止まった。



「え?」



「なんかごめん。怪我したの俺」



「なんだぁ、良かった…って全然良くないじゃん!」



「そういうことなんで先生、見て下さい」
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