野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました
養護の先生が手際よく患部に当てる物を作り、ルカくんの患部に当ててくれた。



「でもなんでルカくんが怪我したの?」



茉莉花にそう聞かれた。



「ん〜、説明すると長くなるんだけど…簡単に言うと私を庇ってくれた。」



「え⁉︎」



そろりと茉莉花がルカくんの方を見た。そして何を言い出すかと思えば、「きゅんじゃん!」と叫んだ。


私とルカくんは二人して「は?」と言っていた。



「ルカくん、良くやった」



そう言いながら茉莉花はルカくんの肩をべしべしと叩いた。


私達は訳が分からず、ただ首を傾げていた。



「だ〜か〜ら〜、きゅんじゃん!」



「茉莉花、それが分からないの」



私は冷静につっこんだ。



「まぁいいや」



「あぁ、心羽が無事で良かった」



なんて優しいんだろう。自分は傷を負っているのに。


そんなことを考えていたせいで顔色が暗くなっていたのだろう。ルカくんが「俺は大丈夫だからそんな顔するな」って言って頭を撫でてくれた。


一気に顔に血液が集まる。


違う、これは恥ずかしいだけ。


でも、私が一番分かっていた。この感情に。
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