野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました
それをルカくんに聞いてみたところ、生き残りと言えどヴァンパイア族は俺たちだけじゃないから大丈夫と一蹴されてしまった。


ここまできて、あっ!と思い出した。



「ヴァンパイアに血を吸われてもヴァンパイアにならない?」



昔読んだ絵本で、そう書いてあったから不安で仕方がなかったのだ。



ルカくんは、不安がっている私を他所に「大丈夫だよ」と笑いながら言った。


少し安心した。だからと言って吸血契約を認めた訳ではない。


他に不安なことといえば…そうだ。日光。帰り道はもう陽が落ちており、平気だったから大丈夫だったが日中はどうなのだろうか。



「ルカくんは日光って大丈夫なの?あとはニンニクとか十字架とか」



「平気だよ。生きやすいように俺らも進化した。でも、十字架だけはダメ」



「そうなんだ」



「血を飲む頻度だって一週間に一度でよくて、それ以外は普通の料理を食べる。でもやっぱり飲まなきゃいけなくて、困ってたところを心羽が助けてくれた」



「ありがとう」と言いながらルカくんは私の頭をわしゃわしゃと撫でた。


なんだか上手く言いくるめられた気がする。



私はなんとかその契約を無効にできないか聞いてみた。だが、「俺にはどうすることもできない」と言われてしまった。
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