新そよ風に乗って 〜幻影〜
悔しいとか、憤りとかではなくて、そういう目で見ている人も周りには居るんだということが、とにかく哀しかった。
栗原さんと3人で帰らずに済んで、ホッとしていたはずなのに、高橋さんの車に乗っていても気持ちが落ち着かない。
周りの人達の優しさに、それをいいことに甘えてしまっていたんではないだろうか。栗原さんのように、快く思ってない人だってきっと居たはずで……。高橋さんや中原さんに甘えていて、周りの人達の気持ちや迷惑を忘れてしまっていた。
金曜日の夜、満天の星空を高橋さんと一緒に見上げながら、ゆっくりと過ぎていった時間がまるで遠い昔のことのよう。高橋さんも、こうやって私を毎日のように家まで送ってくれて、少なからず迷惑を掛けてしまっているわけで、それを思うと居たたまれない。やっぱり電車で帰れば良かったなと、今更ながら後悔の念が脳裏を掠めた。
いろんなことが頭の中をぐるぐると回っていて、それは同時に人の気持ちを思いやれなかった自分の不甲斐なさに繋がり、何故か寂しさと共に隣に居る高橋さんが、金曜日とは違って遠く感じられた。
はぁ……。
早く、家に着かないかな。
高橋さんの車に乗っているのに、初めてそんなことを思ってしまった。
もう、高橋さんに送ってもらうのは、今日で最後にしよう。
そう思って、そっと運転席の高橋さんを見た後、窓から外の景色を眺めていると、あっという間に私のマンションに着いてしまった。
「今度、明良のところに行くのは何時だ?」
車から降りて、高橋さんの横に立った時、不意に聞かれた。
「えーっと……木曜日です。また、立ち寄りでも良いでしょうか?」
高橋さんの顔を、まともに見られない。
否、今は、見たくなかったのかもしれない。
道路を見つめながら、応えていた。
「どうかしたのか?」
高橋さんの声が、上からする。
「い、いえ……何でもないです。送って下さって、ありがとうございました。お疲れ様でした」
お辞儀をして、話を逸らせてしまった。
「ああ、お疲れ様。じゃ、また明日」
高橋さんは運転席に座ると、車を発進させた。
可愛くない性格だな、私。高橋さんは、何も悪くないのに……。
まるで、何かの元凶のような、何とも後味の悪い別れになってしまった。
栗原さんと3人で帰らずに済んで、ホッとしていたはずなのに、高橋さんの車に乗っていても気持ちが落ち着かない。
周りの人達の優しさに、それをいいことに甘えてしまっていたんではないだろうか。栗原さんのように、快く思ってない人だってきっと居たはずで……。高橋さんや中原さんに甘えていて、周りの人達の気持ちや迷惑を忘れてしまっていた。
金曜日の夜、満天の星空を高橋さんと一緒に見上げながら、ゆっくりと過ぎていった時間がまるで遠い昔のことのよう。高橋さんも、こうやって私を毎日のように家まで送ってくれて、少なからず迷惑を掛けてしまっているわけで、それを思うと居たたまれない。やっぱり電車で帰れば良かったなと、今更ながら後悔の念が脳裏を掠めた。
いろんなことが頭の中をぐるぐると回っていて、それは同時に人の気持ちを思いやれなかった自分の不甲斐なさに繋がり、何故か寂しさと共に隣に居る高橋さんが、金曜日とは違って遠く感じられた。
はぁ……。
早く、家に着かないかな。
高橋さんの車に乗っているのに、初めてそんなことを思ってしまった。
もう、高橋さんに送ってもらうのは、今日で最後にしよう。
そう思って、そっと運転席の高橋さんを見た後、窓から外の景色を眺めていると、あっという間に私のマンションに着いてしまった。
「今度、明良のところに行くのは何時だ?」
車から降りて、高橋さんの横に立った時、不意に聞かれた。
「えーっと……木曜日です。また、立ち寄りでも良いでしょうか?」
高橋さんの顔を、まともに見られない。
否、今は、見たくなかったのかもしれない。
道路を見つめながら、応えていた。
「どうかしたのか?」
高橋さんの声が、上からする。
「い、いえ……何でもないです。送って下さって、ありがとうございました。お疲れ様でした」
お辞儀をして、話を逸らせてしまった。
「ああ、お疲れ様。じゃ、また明日」
高橋さんは運転席に座ると、車を発進させた。
可愛くない性格だな、私。高橋さんは、何も悪くないのに……。
まるで、何かの元凶のような、何とも後味の悪い別れになってしまった。