新そよ風に乗って 〜幻影〜
いいとか、悪いとか、そういう問題じゃない。もう、選択肢は1つしかないんだ。
まゆみに話ながら、情けないが気持ちが沈んでしまっていた。
「そう。それじゃ、今度SPIを紹介してあげるから」
「えっ? い、いいわよ。今、そんな気分じゃないし……」
高橋さんのことで、まだ頭がいっぱいだった。
きっと、これから先もそれは変わらないかもしれない。ちょっとしたことに喜んだり、ドキドキしたり出来るだけで幸せなんだもの。
「あら、そうなの? でも、遠慮しないで言ってね。いつでも紹介するから」
「う、うん。ありがとう。じゃあ、そろそろ行くね」
「うん。頑張るのよ、陽子。そのうち、ハイブリッジとの蟠りは解けるから」
まゆみ……。
何処まで、まゆみに本心を見透かされているのはわからないけれど、今はこれが精一杯だった。
夜、考課表の残りを記入して仕上げて、翌朝、高橋さんに考課表を渡さなければいけないことを考えると、それだけで今からすでに緊張していた。
「おはようございます」
「おはよう」
考課表を渡さなきゃ。
席にバッグを置いて、考課表を持って高橋さんの席の隣に立った。
「あの、考課表書いてきましたので、よろしくお願いします」
「ありがとう」
「よろしくお願いします」
もう一度、お辞儀をして直ぐ席に戻った途端、肩の力が少し抜けて呼吸が楽になっていた。
「そうだ。矢島さん」
「は、はい」
いきなり、高橋さんに呼ばれて無意識に背筋を伸ばした。
「出張の仮払い、ありがとう」
「いえ……」
「それと、来月の10、11日の出張なんだが、矢島さんも一緒に行ってもらうから、自分の仮払いも出しておいて」
エッ……。
「出張って……」
「あの、そ、その出張は、私は誰と一緒に……」
「俺と一緒だ」
嘘……。
高橋さんと一緒に、出張に行かなければいけないの?
出張自体も初めてなのに、一緒に行く相手が高橋さんだなんて……。
そんな……どうしよう。
それから、何も手に着かなくなっていた。
まゆみに話ながら、情けないが気持ちが沈んでしまっていた。
「そう。それじゃ、今度SPIを紹介してあげるから」
「えっ? い、いいわよ。今、そんな気分じゃないし……」
高橋さんのことで、まだ頭がいっぱいだった。
きっと、これから先もそれは変わらないかもしれない。ちょっとしたことに喜んだり、ドキドキしたり出来るだけで幸せなんだもの。
「あら、そうなの? でも、遠慮しないで言ってね。いつでも紹介するから」
「う、うん。ありがとう。じゃあ、そろそろ行くね」
「うん。頑張るのよ、陽子。そのうち、ハイブリッジとの蟠りは解けるから」
まゆみ……。
何処まで、まゆみに本心を見透かされているのはわからないけれど、今はこれが精一杯だった。
夜、考課表の残りを記入して仕上げて、翌朝、高橋さんに考課表を渡さなければいけないことを考えると、それだけで今からすでに緊張していた。
「おはようございます」
「おはよう」
考課表を渡さなきゃ。
席にバッグを置いて、考課表を持って高橋さんの席の隣に立った。
「あの、考課表書いてきましたので、よろしくお願いします」
「ありがとう」
「よろしくお願いします」
もう一度、お辞儀をして直ぐ席に戻った途端、肩の力が少し抜けて呼吸が楽になっていた。
「そうだ。矢島さん」
「は、はい」
いきなり、高橋さんに呼ばれて無意識に背筋を伸ばした。
「出張の仮払い、ありがとう」
「いえ……」
「それと、来月の10、11日の出張なんだが、矢島さんも一緒に行ってもらうから、自分の仮払いも出しておいて」
エッ……。
「出張って……」
「あの、そ、その出張は、私は誰と一緒に……」
「俺と一緒だ」
嘘……。
高橋さんと一緒に、出張に行かなければいけないの?
出張自体も初めてなのに、一緒に行く相手が高橋さんだなんて……。
そんな……どうしよう。
それから、何も手に着かなくなっていた。