新そよ風に乗って 〜幻影〜
「いえ、そうじゃないのですが、あの……」
「おっ、高橋君。早いな」
すると、そこへドアを開けて総務部長が入ってきてしまった。
「こんにちは」
高橋さんが振り返ってお辞儀をしていたので、私も慌てて立ち上がってお辞儀をした。
「ああ、矢島さん……だったかな?」
「は、はい」
何で、総務部長が私の名前を覚えているんだろう?
「足の具合、どうなの?」
エッ……。
な、何で、足を怪我していることまで知ってるの?
驚きと、どう返事をしていいのか分からず、思わず高橋さんの顔を見た。
「今日、病院の診察に行きまして、もう少しかかるようですね」
「そう。大事にして下さい」
「は、はい。ありがとうございます」
総務部長はそう言って立ち去ると、後から入ってきた何処かの部長と自分の席に向かいながら話をしていた。
まさか、総務部長に怪我のことで話しかけられるとは思っていなかったので、驚いてしまった。
「あの……。何で総務部長は、私の怪我のことをご存じなんでしょう?」
「だから、総務部長なんじゃないのか?」
「えっ?」
高橋さん。それ、応えになってない気がする。
「総務部長は、社内で起きていること全てを把握していないと成り立たない」
「はあ……」
凄いな。こんな、一社員の怪我のことまで知っているなんて驚いた。
「もし、急ぎじゃなければ、話は後で聞く。いいか?」
「は、はい。すみません」
高橋さんに話そうとしたが、なかなか切り出せなくて言う機会を逸してしまった。宮内さんに言われたこと……。実際のところ、高橋さんに話した方がいいのかどうか、まだ迷っている。けれど、今、高橋さんに話したとしても会議の前だし、やはり後で話した方が良かったのかもしれない。
会議が始まって、高橋さんの定時報告の番になり、先ほど配っていたレジメを見ながら説明をしている。
「LCCに於けます黒字転換につきましては……」
「ちょっと、いいかな」
「はい」
高橋さんが説明をしている途中で、営業担当の取締役が口を挟んだ。
「そのLCCの件だが、具体的な時期はまだ分からんが、日本エアグループさんも参入してくるそうだぞ」
「おっ、高橋君。早いな」
すると、そこへドアを開けて総務部長が入ってきてしまった。
「こんにちは」
高橋さんが振り返ってお辞儀をしていたので、私も慌てて立ち上がってお辞儀をした。
「ああ、矢島さん……だったかな?」
「は、はい」
何で、総務部長が私の名前を覚えているんだろう?
「足の具合、どうなの?」
エッ……。
な、何で、足を怪我していることまで知ってるの?
驚きと、どう返事をしていいのか分からず、思わず高橋さんの顔を見た。
「今日、病院の診察に行きまして、もう少しかかるようですね」
「そう。大事にして下さい」
「は、はい。ありがとうございます」
総務部長はそう言って立ち去ると、後から入ってきた何処かの部長と自分の席に向かいながら話をしていた。
まさか、総務部長に怪我のことで話しかけられるとは思っていなかったので、驚いてしまった。
「あの……。何で総務部長は、私の怪我のことをご存じなんでしょう?」
「だから、総務部長なんじゃないのか?」
「えっ?」
高橋さん。それ、応えになってない気がする。
「総務部長は、社内で起きていること全てを把握していないと成り立たない」
「はあ……」
凄いな。こんな、一社員の怪我のことまで知っているなんて驚いた。
「もし、急ぎじゃなければ、話は後で聞く。いいか?」
「は、はい。すみません」
高橋さんに話そうとしたが、なかなか切り出せなくて言う機会を逸してしまった。宮内さんに言われたこと……。実際のところ、高橋さんに話した方がいいのかどうか、まだ迷っている。けれど、今、高橋さんに話したとしても会議の前だし、やはり後で話した方が良かったのかもしれない。
会議が始まって、高橋さんの定時報告の番になり、先ほど配っていたレジメを見ながら説明をしている。
「LCCに於けます黒字転換につきましては……」
「ちょっと、いいかな」
「はい」
高橋さんが説明をしている途中で、営業担当の取締役が口を挟んだ。
「そのLCCの件だが、具体的な時期はまだ分からんが、日本エアグループさんも参入してくるそうだぞ」