新そよ風に乗って 〜幻影〜
「そ、それは……」
「包み隠さず、正直に話してみろ」
「みんな、私がいけないんです。私が、高橋さんに言われたのに玄関まで出て行ってしまったから、宮内さんに見つかって……。宮内さんは、それで……」
「口止め料代わりに、交換条件でも出された……か」
高橋さん……。
「ごめんなさい。でも、どうしても高橋さんに言えなくて。だけど、渋谷で会う約束をしてしまってから、ずっと後悔してて……でも、でもそれは、やっぱり間違っていて、だけど言ってしまったから、どうしていいか分からなくて。高橋さんを、騙してしまったから。だから、高橋さんにどうしても今日、謝りたくて私……」
もう、自分でも支離滅裂で何を言っているんだかわからなくなっていた。
そして、長い間歩いたのと立ちっぱなしだったこともあり、立っているのも辛くなって、身体の力が抜けたように立っていることができなくなって、地面に崩れ落ちていくのが自分でも分かった。
「おい、大丈夫か?」
けれど、冷たいだろうなと想像していた地面に身体がつくことはなく、高橋さんが両腕を持って支えてくれていた。
「高橋さん。本当に、ごめんなさい。ごめ……」
すると、いきなり高橋さんに抱きしめられていた。
「もういい。泣くな。分かったから」
高橋さん……。
「もう、泣くな」
高橋さんの声が、耳に直接響いている。
「分かったか?」
黙って頷くと、高橋さんがギュッと私を抱きしめた。
どうしよう。
高橋さんに、抱きしめられている。
こんな時なのに、ドキドキして心臓が破裂しそう。高橋さんの胸の中、温かいな。いい香りがする。この香り、いつも気になってるんだけれど、何の香りなんだろう? 香水は苦手だけれど、仄かに香るこの香りは好き……。
「ひゃっ」
夢見心地になっていた私を、突然高橋さんが抱っこした。
「あ、あの……」
「大人しくしてろ」
そう言って高橋さんは抱っこしたまま車まで行き、私を車の助手席に乗せるとドアを閉めた。
ど、どういうこと?
「包み隠さず、正直に話してみろ」
「みんな、私がいけないんです。私が、高橋さんに言われたのに玄関まで出て行ってしまったから、宮内さんに見つかって……。宮内さんは、それで……」
「口止め料代わりに、交換条件でも出された……か」
高橋さん……。
「ごめんなさい。でも、どうしても高橋さんに言えなくて。だけど、渋谷で会う約束をしてしまってから、ずっと後悔してて……でも、でもそれは、やっぱり間違っていて、だけど言ってしまったから、どうしていいか分からなくて。高橋さんを、騙してしまったから。だから、高橋さんにどうしても今日、謝りたくて私……」
もう、自分でも支離滅裂で何を言っているんだかわからなくなっていた。
そして、長い間歩いたのと立ちっぱなしだったこともあり、立っているのも辛くなって、身体の力が抜けたように立っていることができなくなって、地面に崩れ落ちていくのが自分でも分かった。
「おい、大丈夫か?」
けれど、冷たいだろうなと想像していた地面に身体がつくことはなく、高橋さんが両腕を持って支えてくれていた。
「高橋さん。本当に、ごめんなさい。ごめ……」
すると、いきなり高橋さんに抱きしめられていた。
「もういい。泣くな。分かったから」
高橋さん……。
「もう、泣くな」
高橋さんの声が、耳に直接響いている。
「分かったか?」
黙って頷くと、高橋さんがギュッと私を抱きしめた。
どうしよう。
高橋さんに、抱きしめられている。
こんな時なのに、ドキドキして心臓が破裂しそう。高橋さんの胸の中、温かいな。いい香りがする。この香り、いつも気になってるんだけれど、何の香りなんだろう? 香水は苦手だけれど、仄かに香るこの香りは好き……。
「ひゃっ」
夢見心地になっていた私を、突然高橋さんが抱っこした。
「あ、あの……」
「大人しくしてろ」
そう言って高橋さんは抱っこしたまま車まで行き、私を車の助手席に乗せるとドアを閉めた。
ど、どういうこと?