新そよ風に乗って 〜幻影〜
明良さんの部屋は、11階なんだ。
11階で降りると、高橋さんが私の腕を掴んで支えてくれていた。
「あの、大丈夫ですから」
「お前の大丈夫は、ちっとも大丈夫じゃない」
高橋さん……。
通路を歩いて1つのドアの前で高橋さんが立ち止まると、インターホンを鳴らした。
「ホイさ」
すると、勢いよくドアが開いて、明良さんが姿を見せた。
「おっ、陽子ちゃん。こんばんは」
「こ、こんばんは。夜分、遅くにすみません」
「いいのよお。陽子ちゃんなら、何時でも大歓迎」
明良さん……。
「とにかく、入って、入って」
「はい」
そう返事はしたものの、初めて入る明良さんの部屋なので、何だか緊張して思わず高橋さんの顔を見た。
「遠慮は、いらないから」
「そうだよ、陽子ちゃん」
「はい。ありがとうございます」
「明良。誰か居るのか?」
エッ……。
高橋さんが、玄関に置かれている1足の靴を見ながら明良さんにそう言った。
誰?
「あっ、そうそう」
「ヨッ!」
あっ……。
「何だよ。来てたのか」
「何だよとは、ご挨拶だな。陽子ちゃん。こんばんは」
「こ、こんばんは」
「仁。今、休みなのか?」
「ああ。ちょうど一段落して、小休止ってとこ。また来週末から」
「そうか。そんな貴重な休み期間に、明良の所に来てるようじゃ……」
「なあ」
「何? 何? 何なの? 2人とも。明良さんのお宅ご訪問しときながら、何? その含んだような言い方」
「いや、別に」
「特に意味はない」
間髪入れずに仁さんが返事をすると、高橋さんもそれに続いて応えている。
何か、この3人の会話って、何時聞いていても楽しいな。
「陽子ちゃん。足は、大丈夫?」
「は、はい。ありがとうございます」
リビングに入ると、ソファーに座ろうとした仁さんに振り向きざま聞かれた。
「じゃあ、陽子ちゃん。ちょっと、向こうの部屋で診察しようか」
11階で降りると、高橋さんが私の腕を掴んで支えてくれていた。
「あの、大丈夫ですから」
「お前の大丈夫は、ちっとも大丈夫じゃない」
高橋さん……。
通路を歩いて1つのドアの前で高橋さんが立ち止まると、インターホンを鳴らした。
「ホイさ」
すると、勢いよくドアが開いて、明良さんが姿を見せた。
「おっ、陽子ちゃん。こんばんは」
「こ、こんばんは。夜分、遅くにすみません」
「いいのよお。陽子ちゃんなら、何時でも大歓迎」
明良さん……。
「とにかく、入って、入って」
「はい」
そう返事はしたものの、初めて入る明良さんの部屋なので、何だか緊張して思わず高橋さんの顔を見た。
「遠慮は、いらないから」
「そうだよ、陽子ちゃん」
「はい。ありがとうございます」
「明良。誰か居るのか?」
エッ……。
高橋さんが、玄関に置かれている1足の靴を見ながら明良さんにそう言った。
誰?
「あっ、そうそう」
「ヨッ!」
あっ……。
「何だよ。来てたのか」
「何だよとは、ご挨拶だな。陽子ちゃん。こんばんは」
「こ、こんばんは」
「仁。今、休みなのか?」
「ああ。ちょうど一段落して、小休止ってとこ。また来週末から」
「そうか。そんな貴重な休み期間に、明良の所に来てるようじゃ……」
「なあ」
「何? 何? 何なの? 2人とも。明良さんのお宅ご訪問しときながら、何? その含んだような言い方」
「いや、別に」
「特に意味はない」
間髪入れずに仁さんが返事をすると、高橋さんもそれに続いて応えている。
何か、この3人の会話って、何時聞いていても楽しいな。
「陽子ちゃん。足は、大丈夫?」
「は、はい。ありがとうございます」
リビングに入ると、ソファーに座ろうとした仁さんに振り向きざま聞かれた。
「じゃあ、陽子ちゃん。ちょっと、向こうの部屋で診察しようか」