新そよ風に乗って 〜幻影〜
「とにかく、食べよう」
高橋さんが席に着くなりそう言うと、みんな一斉にお箸を持ったので、私もそれに習った。
「いただきます」
「美味そうだ」
「美味いの」
「しつこい」
ブツブツいいながらも、明良さんがみんなに取り分けてくれた。
「陽子ちゃん。どうかな?」
「美味しいです。オイスターソースとホタテって本当に良く合いますね」
明良さんが作ってくれたのは、ホタテと野菜もオイスターソース炒めだった。
「美味いな」
「だろう? ホタテの缶詰があったから。それと、もう遅いからなるべく消化のいい野菜にしたけど、昼間だったら此処にセロリとか入れても美味しいと思う」
「こっちは、何が付いてるんだ?」
明良さんが作ってくれたもう1つのお皿の上には、たくさんのおにぎりに何か付いている。
「これ? これはさ、ちょっと隠し味でこっちに入れた麻婆豆腐の素の残りのルーをフライパンで温めて、電子レンジで温めた冷凍ご飯にまぶして握っただけ」
「そうなんだ。これ美味い。飯が進むな」
「麻婆豆腐の素とか麻婆ナスの素とかには、いろんな調味料が入っていて多少味付けが濃くなってる。それは豆腐や野菜と混ぜ合わせるからだけど、その残ったルーでご飯を炒めても美味いけど、俺はこのおにぎりにするのがいちばん美味いと思ってる。絶妙な中華風味噌のようなルーとご飯が本当に良く合うんだよ」
「へえ、今度俺もやってみよう。これは、酒呑んだ後に食べても美味いな」
「陽子ちゃん。どう?」
「はい。このおにぎり、とっても美味しいです。私も、今度やってみます」
1人だと、ルーが余ってしまうことが多い。捨てちゃうにはもったいないので、使い道がないから全部使ってしまっているが、一人前にはちょっとルーの量が多いのでこれは有効活用できて助かる。
「おい、仁。おにぎりばっかり食べてないで、ちゃんと野菜も食えよ」
「食べてるよ」
「いいや、ホタテだけ食ってるだろ」
「いちいちチェックしてて、いやらしい男」
私の前に座っていた仁さんが小声で言ったので、下を向いて笑いを堪えていた。
「えっ? 仁。何?」
「いや、何でもない。俺、毎朝野菜ジュース飲んでるからいいんだ」
そうなんだ。仁さんは、毎朝野菜ジュース飲んでるなんて偉いな。
「星川君? 野菜ジュースを毎朝飲んでるから、野菜は食べなくていいと誰が決めたんですか?」
「俺」
「I am a Bible か……」
高橋さんが席に着くなりそう言うと、みんな一斉にお箸を持ったので、私もそれに習った。
「いただきます」
「美味そうだ」
「美味いの」
「しつこい」
ブツブツいいながらも、明良さんがみんなに取り分けてくれた。
「陽子ちゃん。どうかな?」
「美味しいです。オイスターソースとホタテって本当に良く合いますね」
明良さんが作ってくれたのは、ホタテと野菜もオイスターソース炒めだった。
「美味いな」
「だろう? ホタテの缶詰があったから。それと、もう遅いからなるべく消化のいい野菜にしたけど、昼間だったら此処にセロリとか入れても美味しいと思う」
「こっちは、何が付いてるんだ?」
明良さんが作ってくれたもう1つのお皿の上には、たくさんのおにぎりに何か付いている。
「これ? これはさ、ちょっと隠し味でこっちに入れた麻婆豆腐の素の残りのルーをフライパンで温めて、電子レンジで温めた冷凍ご飯にまぶして握っただけ」
「そうなんだ。これ美味い。飯が進むな」
「麻婆豆腐の素とか麻婆ナスの素とかには、いろんな調味料が入っていて多少味付けが濃くなってる。それは豆腐や野菜と混ぜ合わせるからだけど、その残ったルーでご飯を炒めても美味いけど、俺はこのおにぎりにするのがいちばん美味いと思ってる。絶妙な中華風味噌のようなルーとご飯が本当に良く合うんだよ」
「へえ、今度俺もやってみよう。これは、酒呑んだ後に食べても美味いな」
「陽子ちゃん。どう?」
「はい。このおにぎり、とっても美味しいです。私も、今度やってみます」
1人だと、ルーが余ってしまうことが多い。捨てちゃうにはもったいないので、使い道がないから全部使ってしまっているが、一人前にはちょっとルーの量が多いのでこれは有効活用できて助かる。
「おい、仁。おにぎりばっかり食べてないで、ちゃんと野菜も食えよ」
「食べてるよ」
「いいや、ホタテだけ食ってるだろ」
「いちいちチェックしてて、いやらしい男」
私の前に座っていた仁さんが小声で言ったので、下を向いて笑いを堪えていた。
「えっ? 仁。何?」
「いや、何でもない。俺、毎朝野菜ジュース飲んでるからいいんだ」
そうなんだ。仁さんは、毎朝野菜ジュース飲んでるなんて偉いな。
「星川君? 野菜ジュースを毎朝飲んでるから、野菜は食べなくていいと誰が決めたんですか?」
「俺」
「I am a Bible か……」