新そよ風に乗って 〜幻影〜
労災
嘘でしょう?
遠藤主任の口から出た言葉は、まるで青天の霹靂だった。
でも、考えてみれば……。
「だって、そうだろう? 人事と総務に、頻繁に出入りしてるってことは……だよ? 10月にも若干の人事異動があったりするから、その選考をする時期はちょうど今頃なはずだ。だから、きっとお前の上司だし、人事に相談しに来てるんじゃないか?」
「そう……なんですか……ね」
急に喉の奥が詰まった気がして、お腹空いてヘロヘロだったはずなのに、一気に胸がいっぱいになってしまい、食事も途中だったが食欲もなくなってしまった。
「まあ……。もし、そうなったとしても、また同じフロアで仕事できるから、可愛がってやるからさ」
もしかしたら、10月に異動で人事に戻されるのかもしれないなんて……。
遠藤主任の声が、目の前に座っているのに遠くの方で聞こえていた。
事務所に戻ってからは、忙しさも手伝ってなるべく考えないようにしながら仕事に没頭し、
やっと残業も一段落して帰ることになって、高橋さんと中原さんと3人で事務所を出た。
このままだと、またきっと高橋さんと一緒に帰ることになってしまう。
どうしよう……。
今日は、一緒に帰りたくないな。何と言って、断ろう。
足の具合もまだ少し痛むけれど、そんなことよりも遠藤主任に言われたことの方が、今は 胸が痛む。
もし、遠藤主任の話が本当だとしたら……。
高橋さんにとってのアシスタントは、やっぱり私では足手まといなだけなのかな?
「それじゃ、お疲れ様です。俺、此処で降りますから、鍵返しときますよ」
あっ。
ボーッとしていたら、もう2階に着いてしまっていた。
「あの、中原さん。待って下さい。私も降ります。高橋さん。今日は、ちょっと寄る所があるので、私も此処で失礼します。お疲れさ……」
うわっ。
エレベーターから降りようとしたところを、高橋さんに腕を掴まれた。
「高橋さん。じゃあ、俺、先行きますね」
「頼むな。お疲れ」
中原さんは、そう言い残して先に行ってしまった。
「高橋さん?」
「お前、真っ直ぐ帰れ。送っていくから」
はあ?
遠藤主任の口から出た言葉は、まるで青天の霹靂だった。
でも、考えてみれば……。
「だって、そうだろう? 人事と総務に、頻繁に出入りしてるってことは……だよ? 10月にも若干の人事異動があったりするから、その選考をする時期はちょうど今頃なはずだ。だから、きっとお前の上司だし、人事に相談しに来てるんじゃないか?」
「そう……なんですか……ね」
急に喉の奥が詰まった気がして、お腹空いてヘロヘロだったはずなのに、一気に胸がいっぱいになってしまい、食事も途中だったが食欲もなくなってしまった。
「まあ……。もし、そうなったとしても、また同じフロアで仕事できるから、可愛がってやるからさ」
もしかしたら、10月に異動で人事に戻されるのかもしれないなんて……。
遠藤主任の声が、目の前に座っているのに遠くの方で聞こえていた。
事務所に戻ってからは、忙しさも手伝ってなるべく考えないようにしながら仕事に没頭し、
やっと残業も一段落して帰ることになって、高橋さんと中原さんと3人で事務所を出た。
このままだと、またきっと高橋さんと一緒に帰ることになってしまう。
どうしよう……。
今日は、一緒に帰りたくないな。何と言って、断ろう。
足の具合もまだ少し痛むけれど、そんなことよりも遠藤主任に言われたことの方が、今は 胸が痛む。
もし、遠藤主任の話が本当だとしたら……。
高橋さんにとってのアシスタントは、やっぱり私では足手まといなだけなのかな?
「それじゃ、お疲れ様です。俺、此処で降りますから、鍵返しときますよ」
あっ。
ボーッとしていたら、もう2階に着いてしまっていた。
「あの、中原さん。待って下さい。私も降ります。高橋さん。今日は、ちょっと寄る所があるので、私も此処で失礼します。お疲れさ……」
うわっ。
エレベーターから降りようとしたところを、高橋さんに腕を掴まれた。
「高橋さん。じゃあ、俺、先行きますね」
「頼むな。お疲れ」
中原さんは、そう言い残して先に行ってしまった。
「高橋さん?」
「お前、真っ直ぐ帰れ。送っていくから」
はあ?