来る日も来る日もXをして
去年の忘年会で先輩女性に告白した後輩男性の告白のセリフ、先月上司が起こしてしまった大きなミス、今週行われたフィンランドの会社とのネット会議での決定事項、何を聞いても男の子は詳細に答えることが出来た。先輩同様『悪魔の言語』と言われる程難解なフィンランド語もペラベラだ。

「・・・嘘。本当に、明日先輩なんですか?」

「そうだよ。ちょっと着替えてくる。」

別室に行き戻ってきたトレーナーと半ズボン姿の彼は小学生そのものだった。ランドセルを背負わせたくなる。

───半ズボンの小学生なんて、私の同級生でもいなかったな・・・。

「土日は家にこもってればいいからこの姿でいいんだけど、平日は子どもになるわけにはいかない。だから毎日酒飲んで色んな店でなんとかしてキスしてもらってたんだけど・・・時間も金もかかるし、何より苦痛で・・・。」

男の子───明日先輩───は苦しそうに顔を歪めた。こちらまで苦しくなってくる。それから何かを決意したように小さな口を開いた。

更科(さらしな)、無理を承知で言う。俺と毎日キスしてほしい。」
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