来る日も来る日もXをして
「あ、お昼休み終わるね。午後イチミーティングだね。」

部長が言う。

───よかった!ここから出られる!

「本当だ。ねぇ、今夜飲みに行きましょうよ。昔の話したくなっちゃった。」

「いいね!どこにする?」

盛り上がる二人の声が段々遠くなっていくと、少しの物音なら聞こえないだろうと東雲くんの手を掴んで止めたが、もう片方の手が私の両手をまとめて頭の上で押さえた。彼の息遣いは荒い。

───早くっ!

ドアが開く音がしてそれに続いて閉まった音がした。

「やめて!!」

大声で叫ぶが手を離してはくれない。体をよじって暴れると、固い何かに触れた。

───!!

「・・・僕、会社ではしない主義って言ってたの聞いてたでしょ?しないっていうか出来ないんです。地味モードになってると体が反応しない。でも今ヤバイです・・・更科さんとなら・・・。」

東雲くんの声は切なく(したた)り落ちるほどの色気を含んでいる。
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