来る日も来る日もXをして

テーブル下の秘密

(しのぶ)くん!どういうことなの!?」

それは先程まで部長と楽しげに話していた社長の怒声だった。隣のグループの島、いつの間にか戻ってきていた東雲(しののめ)くんの席のところに社長と部長が並んでいた。普段よく声を張り上げている部長とは対照的に社長はとても穏やかな女性だったので、皆が呆気にとられている。ちなみに明日(あけひ)先輩は外出中だ。

「これは去年の春のカタログよ!」

そう言って冊子を東雲くんの目の前に突きつける。各シーズンの商品紹介や各種コラム、当社アイテムを愛用してくださっている素敵なお客様のご紹介などの記事を載せている情報誌のようなもので、今年度から新しい印刷会社に印刷発注している。

「印刷業者への発注メールは部長と私もCCに入れるの!発注システムに入力して上長の承認を得ることもせずに勝手に印刷と発送を依頼するなんて有り得ないわ!引き継ぎ資料にあるでしょう!?」

カタログの発注、顧客への発送のアウトソース依頼は元々契約社員さんの仕事だった。彼女が退職し後任は採らないことにしたので東雲くんの仕事としていたようだ。
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