来る日も来る日もXをして
「・・・へ?」

「俺と毎日キスしてほしい。」

「なんですと!?」

「俺と毎日キスして。」

「What!?」

「Kiss me every day.」

「えっえええ!?何でそうなるんですか!?何で私!?」

「昨日は突然唇を貸してもらって本当に申し訳なく思ってる。今日大事な打ち合わせがあるのに、昨日は忙しくて日付変わる前に店に行けなかったんだ。一晩考えて、頼むなら更科しかいないと思った。」

「えっ!?・・・と、それはどうして・・・?美彩(みあや)ちゃん・・・高部(たかべ)さんなんて喜んで協力してくれそうですよね?」

後輩の高部美彩ちゃんは先輩にベッタリで『明日先輩とだったら一晩でもいい!』と口癖のように言っているのだ。しかも本人の前で。

「昨日残ってたのが高部だったら躊躇してキスできなかったかも。」

「どうしてですか!?」

「俺は恋愛に興味ないっていうか、むしろ苦手なんだ。恋愛も女性も。そんな中更科は女性って感じがしないっていうか・・・。」

「え!?私ディスられてます!?」

───スキンケアとかメイクとかファッションとか、それなりにやってるんだけどな・・・。

「いや、更科は綺麗だけど・・・。」

「!?」

───そ、そんなサラッと!?やっぱりチャラ・・・くないのか。

「俺にとって苦手意識なく付き合える、ありがたい存在なんだ。」

───何それ!?それって喜んでいいの!?多分ダメだよね?

「と、とにかく!どんな理由にせよキスするなんて・・・しかも毎日・・・。」

「ごめん。本当めちゃくちゃなこと頼んでる。もちろんちゃんと礼はする。なんでもする。考えてみてくれない?」

訴えかけてくる少年の瞳。こういうのに私はめっぽう弱い。

───ま、負けるな、私!

「な、なんでもする、なんてそんな簡単に言っちゃだめですよ!もし私が『それじゃあ私のペットになってください。』って言ったらお手とかしてくれることになっちゃいますよ!?」

「するよ。お手。」

先輩は真面目な顔で言った。
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