来る日も来る日もXをして
東雲くんのミスの処理を手伝う。私がミーティングをしている間にホームページにお詫びの文章を掲載し、謝罪のメールを配信していた。メールをご覧になっていないお客様も多いと思うしやはりお詫びは紙で伝えるべきなので葉書を印刷し、郵便局の定時集荷を待たずに局に持ち込んだ。

部長が正しいカタログの印刷を印刷会社に依頼し、普段封入作業をアウトソースしているその子会社に連絡していたが、依頼が立て込んでおり印刷が上がってすぐ作業を引き受ける余裕がないという。その為封入作業は印刷が出来次第こちらですることになった。すぐに送れるように宛名シールを作成し封筒に貼っていく。

居室内のパーテーションで仕切られたブース───少人数での内部打ち合わせや作業スペースとして使われる───で向かい合い一緒に黙々と作業しながら東雲くんが何を考えているのかはわからなかった。反省しているのか、それとも『なんで自分がこんな作業をしなくてはならないのか』などと思っているのか。

作業が終わると東雲くんは俯いたまま消え入りそうな声で『ありがとうございます。すみませんでした。』と言った。

自席に戻り仕事をしていると先程までいたブースから『更科(さらしな)!』と呼ばれた。外出から戻った明日先輩だ。本来の先輩は声も小さめで穏やかに話すけれど、会社での先輩は声が大きかった。
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