来る日も来る日もXをして
「とにかく、僕はハワイには行きません。マッサージの予約だって一年先まで入ってるんですから。」

『それだけど・・・』と部長が話し始める。

「マッサージの予約や経理など事務関係、お父さんの会社の人達に任せてたんでしょ?お父さんがその人達に指示して現在入ってる予約を全てキャンセルしたそうだよ。予約してなかったお客さんも含めてマッサージをしばらく休業する旨を連絡したと。」

「はぁっ!?」

東雲くんが立ち上がる。

「忍が今住んでるマンションも来月末で解約してる。家賃は自分で払ってても、元々はお父さんが契約されてたんだよね。ハワイに行くまでは実家で暮らすことになるって。」

「ふざけんなよ!!こんなのおかしいだろ!」

東雲くんは叫んで、テーブルを両手で叩いた。

「おい、あんまり大声出すな・・・」

明日先輩がたしなめようとすると『うるせーな!あんたは黙ってろ!』と激しく言い返される。

「もちろんうちで働くのは3年、という約束は有効よ。ハワイに行ってやっぱり辞めたいと思ったら、来年の3月末で辞めてもらって構わないわ。」

「こんな会社、今すぐ辞めてやるよ!マッサージだって新規の客いくらでもとれるし、今と同程度のマンションを契約する金だって余裕にある。一年早く解放されるってだけだ。」

「忍・・・」

「もう帰ります。明日から来ないんで。お世話になりました。」

部長の言葉を遮った東雲くんは会議室の出口までずんずんと歩いていく。

『ちょっと待っ・・・』と追いかけようとすると『菘さん、いいわ。』と社長に止められた。
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