来る日も来る日もXをして
「『ごめん(ゆか)』?・・・この時は褄野さんの店の前で話してて更科がスイーツを食べに行くって言って走って行っちゃって見つからなくて電話しても繋がらなくて・・・あ!」

「何ですか!?」

「『ごめん(どこ)?』だよ!俺よく濁点忘れちゃうんだ。たぶん『とこ』って打ってひらがなでいいのに漢字変換しちゃったんだ。更科が見つからなくてかなり焦ってたから。スマホの入力苦手だから、いつもはメッセージ打って確認してから送るけど、この時はそんな余裕なかったんだ。」

「『ごめん(どこ)?』!?じゃあこれは私宛のメッセージ・・・。」

「ごめん・・・誤解させるようなことして・・・。」

「いえ・・・私こそ早とちりしてしまって・・・というかさっき殴ってしまって本当にごめんなさい。」

深く頭を下げる。

「そんなのいいから・・・あっ、手大丈夫?昨日自販にぶつけた・・・冷やすもの買って更科の部屋のノブにかけてピンポン押して去ろうとか思ったんだけど、部屋どこかわからなくて・・・今考えたらフロントの人に頼めばよかったね。」

先輩の優しさが心と目にしみて涙が出そうになる。褄野さんとの秘密も仕事のことだったし私を想うから言えなかった、『ごめん床』のメッセージも私を想ってのもの・・・先輩はずっと私をまっすぐに想っていてくれたのに、私が勝手に勘違いしてモヤモヤしていたのだ。
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