来る日も来る日もXをして
「・・・俺、ハワイに行く。」

「えっ!?」
「はぁっ!?」

明日先輩の唐突な発言に私と忍くんが同時に驚嘆の声を上げる。

「俺はあと数日休みがあるから、まだ日本を()たなくていいんだ。どうしても更科に会いたくてここに来ただけで・・・あ、更科達が乗るのこの便だね、よし、キャンセルがあってまだ乗れる。」

先輩は目にも止まらぬ速さでスマホを操作している。スマホ苦手なはずなのに。

「ちょっ、先輩!?」

()と一秒でも長く一緒にいたいんだ。」

「!」

明日先輩に初めて呼ばれた下の名前はスイーツのような甘さをまとっていた。

「寒っ!いやー心底引きます。好きな人追いかけて勢いで海外行くとか。菘さん気をつけてください。明日さん絶対ストーカーになるタイプですよ。いやもうなってるか。」

「なんとでも言え。」

「わ、私はその・・・嬉しい、ですけど・・・。」

「菘・・・。」

「ぎゃー、今語尾にハートマークついてた・・・言っときますけど僕らは隣の席ですから。イチャイチャするのを明日さんは指をくわえて見てたらいいですよ。」

「何!?」

「イチャイチャなんてしません!」

「今朝、新幹線ではしたじゃないですか。」

「してないから!」

「東雲、四つ葉のクローバーのことはありがとう。」

「四つ葉!?あれ、明日さんのだったんですか!?うわー知ってたら地べた這いつくばって探したりしなかったのに・・・返してください。」

「ダメ。せっかくばあちゃんと菘が探してくれて菘が栞にしてくれたんだから。そのことは感謝するし、東雲の仕事ぶりもすごいと思う。でも菘は渡さない。」

「へえ、望むところですよ。奪うまでです。」

二人の間に火花が見えるようなのは気のせいか。

「・・・ちょうどいい。東雲に証人になってもらう。」

「証人?」

忍くんは(いぶか)しげだ。私にも何のことかわからない。
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