来る日も来る日もXをして

決意のキス

───今の子ってそんな感じなの!?や、歳1つ2つしか変わらないんだけど・・・。

廊下の突き当たり。窓の外の夜景を見ながら朝の後輩達との会話を思い出すが、やはりどう考えても理解できない。私が固過ぎるんだろうか。

「好きでもない人とそんなことするなんて・・・。」

思わず声に出してからハッとする。

───私だって好きでもない人と・・・。

嫌いだった明日(あけひ)先輩に今は淡い好感を抱いてはいるが、恋愛感情はなかった。

───美彩(みあや)ちゃん達みたいに先輩がイケメンだから喜んでやっているわけではないし、はたまた弱みを握られて嫌々やっているわけでもない・・・人助けなんだけど、やってることはキスっていう・・・。はぁ、引き返せるうちにやめた方がいいのかな?でも・・・。

窓の外を見る。働いているのはウォーターフロントのビルだ。向こう岸には様々な形状の高層ビルが美しく光っている。初めて見た時ほどではないけれど、今でも見る度に感動する。

オフィスにはもう明日先輩しかいなかった。私は今やるべき仕事は終わっているけれど、余裕が出来たらやればいいような仕事をして無理矢理遅くまで残っていた。先輩に『手伝えることありますか?』と聞いてみたが『特にない。』と返された。

オフィスでの先輩は家での彼とは別人のような俺様のままだった。でもそれは偽りの彼なのだと今ではわかる。
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