来る日も来る日もXをして
「・・・その・・・整理するとこのまま続けるってことですよね、私達二人で・・・。」

「更科さえよければそうしてもらえるとありがたいけど・・・。」

「はい。それはその、私としてはその心づもりでいました。でも、正直昨日とは全然違うっていうか・・・。」

「俺が大人だから?」

「・・・はい。」

「そうだよね・・・。」

明日先輩は神妙な表情になった。

「か、かと言って、『今日はキスしないで明日子どもに戻ったらします。』ってことじゃないですよ!?」

「ははっ、わかってるよ。」

それはオフィスでは初めて見た明日先輩の本当の笑顔だった。今までオフィスで見ていた俺様な先輩の笑顔とは全く違った。

「・・・俺、子どもになって更科と話して思ったのは、もし俺たちが子どもの頃出会ってたらどうだったかなって。」

「・・・あんまり変わらないと思います。私は子どもの頃からこういう固い感じだったし。」

「だろうな。俺も・・・表面は必死に装ってても本来の俺はずっと変わらない。」

「ずっと瓶底眼鏡と半纏(はんてん)ルックですか?」

「そう、もはや俺の体の一部だから。」

「きっと魂宿ってますね。」

「や、ずっと同じの着てる訳じゃないから。」

「先輩の成長に合わせて大きくなっていくのかと思いました。」

「体の一部だし?」

「そうそう。」

2人でクスクス笑っていたら、明日先輩が真面目な顔になったので自然に目を閉じた。そこには何の思考もなかった。先輩が私の後ろの窓に手をついた。

昨日より大きな先輩の唇。でも感触は変わらないように思えた。
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