来る日も来る日もXをして
「こ、こんなの恐喝だよ!訴えるよ!」

「どうぞ?いずれにせよ、言うことを聞かないなら今ばらまきます。訴えるのは拡散された後になりますね。」

無我夢中で立ち上がって飛び付くと東雲くんはスマホを高く掲げる。

「あ、今ので共有押しちゃった。」

「えっ・・・。」

サーッと血の気が引いていく。

「すぐ削除して!お願い!」

「大丈夫です。押したのメールアプリですから。動画添付しようとしてるけど、宛先入力してないし。」

ホッとする。

「さ、ホッとしたところで脱いでください。それとも脱がされたいですか?」

「だから───!」

「僕、こう見えて気が短いんです。10秒以内に脱がないと拡散しますよ?なお、もし殴るなど危害を加えた場合はその瞬間に共有します。」

「わかったよ・・・。」

私は覚悟した。別に初めてなわけじゃないし、後輩ちゃん達が言うようにもっと気軽にしてもいいことなのかもしれない。それで拡散を(まぬが)れるなら、それで・・・それに過去に付き合った彼氏のように私が固いからつまらない、と途中で嫌になってやめてくれるかもしれない。

観念してコートに手をかけた私を見て東雲くんがニヤリと笑った。
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