来る日も来る日もXをして
送られてきた住所を元にマップアプリで検索し訪れたのは、高級住宅街にあるコンシェルジュがいる豪華なマンションだった。うちの会社の入社二年目の給料で住める家賃ではないことは明らかだ。一階には住人専用のラウンジがあった。恐らくバーだったりジムだったりプールだったりもあるんではないだろうか。

テレビでしか見たことがないようなラグジュアリー空間に大いに気後れしつつ上品なコンシェルジュの女性に東雲くんを訪ねてきた旨を伝えると、彼に連絡をしてからゲートを開けてくれた。

ジャズが流れ、ふかふかのソファが置かれたエレベーターで38階まで上がる。絵画や彫刻が飾られ立派な壷にはお花が生けられていた。

───このエレベーター、なんでこんなに広いの!?荷物用じゃないよね!?私、ここに住めるわ。いや、むしろゴージャス過ぎて落ち着けないか。

エレベーターが開いた途端、現れたのは広いロビーだった。

───ロビー、下にあったやん!なんでここにもあるねん!むしろ下より豪華やないかい!

長野県出身なのに思わずエセ関西弁で突っ込んでしまう。

なんと噴水や庭園まである。まるで漫画の世界だ。こんなところで日常生活を送っている人達がいるなんて。
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