来る日も来る日もXをして
「自分の人生、つまらなくしてるのは東雲くん自身なんじゃない?」

「・・・は?」

私の言葉で部屋の空気にピシッとヒビが入ったようだった。でもここでひるむわけにはいかない。

「お父さんに言われたとはいえ、最終的に就職するのは自分で決めたことでしょ。やると決めたからには会社の、社会の一員として仕事はちゃんとやるべきだよ。学ぶことだってきっとある。やりたいことじゃなくたって無駄なことなんてないんだよ。」

「うっわ~、うぜぇ。そういうのまじ引くわ。」

彼はそう言ってたばこに火をつけた。

「ちゃんと聞いて。恋愛とか、そういうのは個人の自由だけど、会社はひとつのチームなんだよ。」

「ぷっ、何ですか、それ。昔の熱血サラリーマンドラマですか。今時そんなの流行りませんよ。皆出来るだけ楽して働きたいんですよ。無駄に張り切って働いてる人いるじゃないですか?人の仕事までやっちゃうような。働きたい人が働けばいいんですよ。今の時代、個人の考えが尊重されるべきですから。」

「それは・・・っ!」

『無駄に張り切って働いてる人』それは明らかに私のことを言っている。反論しようとすると東雲くんが私の頭にポンポンと触れた。

「更科さんさ、モテないでしょ?カラダだけじゃなくアタマもガッチガチですもんね。」

「そ、それは今関係ないでしょ!私は仕事の話を・・・!!」

東雲くんは火をつけたばかりのタバコを灰皿に押し付けると、私を乱暴にソファに押し倒した。
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