来る日も来る日もXをして

一生尽くす宣言

東雲(しののめ)くんの家を出て電車に乗り自宅に帰り、明日(あけひ)先輩に『今から電話できませんか?』とメッセージを送る。

今日のキスは会社の倉庫でだった。東雲くんに動画を撮られたこともあったので、社内ではなくお昼休みに外に行ってそこで・・・と思っていたがそれは出来なかった。

明日先輩が午後から出張に行くことになっていたのだが、そこで使う資料が急遽差し替えになった。資料は出発前にミーティングで確認することになっていたので、二人で急いで修正していたのだ。その為キスは社内で済ませるしかなかった。先輩は明日の夕方に帰ってくる予定だ。

しばらく待っても既読にはならない。予想はしていた。取引先と飲み会をしているのだと思う。

───でもこれは、メッセージではなく電話で伝えることだよね・・・。

飲み会の後で連絡が来るかもしれないから先にお風呂に入ってしまおうと裸になった時、スマホが震えた。慌ててとると電話だった。

『もしもし?何かあった?』

明日先輩の声はガヤガヤに包まれていた。居酒屋だろう。

「お疲れ様です。今飲み会ですか?話して大丈夫ですか?」

『うん。さっきは取引先の方が電話でしばらく席外してたし。』

「ごめんなさい!月曜日、廊下の窓のところでキスしたの、動画に撮られてました!」

『え!?誰に!?あの時俺と更科(さらしな)しかいなかったよね?防犯カメラとか?』

「誰っていうのはその、あれなんですけど・・・私のせいです。ごめんなさい。」

『や、謝ることないよ。更科は嫌かもしれないけど、俺は別にいいし。』
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