来る日も来る日もXをして
『えっ!?』

「う、うわあぁ!なんでもないです!忘れてください!」

───何言ってるの私!?変態か!?

『・・・見たいよ。』

「へ?」

『見たいよ。更科の体。』

「そっ、それは私も一応女だからでしょっ。」

『違うよ。更科だから。』

「それってどういう──。」

『つまり・・・あっ、すみません。もう終わります。』

「先輩?」

『悪い。長く話し過ぎた。取引先の人が心配して見に来たんだ。もう切るよ。明日、なんか言われてつらかったら連絡して。』

「・・・はい。」

『じゃ。ちゃんと風呂で温まって。』

「はい・・・じゃあ・・・。」

『あ~待て、腹巻きとかゆたんぽとかある?』

「ないですけど。」

『使うと全然違うよ。毛糸のパンツも。』

「パン・・・!?は、はい。」

『それからお灸もいい。』

「はぁ・・・。」

『あと根菜とか生姜とかかりんは体を温めるし・・・。』

「先輩?」

『ん?』

「話してて大丈夫なんですか?」

『そうだった!じゃあ、おやすみ。』

「おやすみなさい。」

電話が切れた。『寒い寒い』と言いながらお風呂に向かう。ふと鏡に映る自分を見ると柔らかな表情をしている。

明日先輩と話すとなんだかいつも心に温かい余韻が残るのであった。その余韻が東雲くんとの間にあったことをすっかり癒してくれていた。
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