来る日も来る日もXをして
「俺、ソファで寝るから。」

古びたソファは大人二人が身を寄せ合えば座れるくらいのサイズだった。

「いや、無理ですよね。私でも無理です。」

「で、でもさ・・・。」

「私は大丈夫ですから。ベッド広いし。」

「そう?」

「大丈夫です。こたつに一緒に入るようなもんですよ。」

本当は大丈夫なんかじゃなかったけれど、自分に言い聞かすように言った。

「それもそうだね。あれ?ここ何が入ってるのかな?」

「あ、たぶんそこ・・・!」

先輩が戸棚を開けると、各種大人グッズがズラリと並んでいた。

「・・・!!」

先輩は慌てて扉を締めた。

───もしかして先輩こういうとこ初めてなのかな・・・。

「シ、シャワー、更科が先に浴びれば?」

「え、いいですよ。先輩が先にどうぞ。」

「こういうのはレディファーストでしょ?」

───レディファースト・・・今時そんな言葉使う人いるんだ。

なんだかほっこりしてくすっと笑ってしまった。

「じゃ、すみません。お先に・・・って!?」

浴室はガラス張りだった。先輩と顔を見合せる。

「あっ、大丈夫ですよ。ちゃんとロールスクリーンありますか・・・ら・・・!?」

ロールスクリーンを下げようとしたら、紐に『故障中』と書かれた紙がぶら下がっていた。

沈黙が流れる。
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