来る日も来る日もXをして
見つめあったまま固まってしまう。

「あっ!あっ!えっ!?すみません!その!おばあちゃんから着信です!」

思いきり顔を背けて先輩にスマホを差しだす。先輩は『ばあちゃん!?こんな時間に!?』と焦った様子で浴室から出てきた。スマホが彼の手に渡ると同時にトイレに駆け込む。

───み、見てない!見てない!肝心なところは見てない・・・よね?

先輩の体のその部分は目に入っていなかったということを確認する為に、頭の中の先輩の裸体を見直す。筋肉が程よくついていて綺麗だった。

───何やってるの、私・・・。

少しすると『間違い電話だった。』とトイレの外から先輩の声がして便器の上で飛び上がる。まるで(たる)に剣を指していって中の人形を飛び出させるおもちゃのようだ。

「そ、そうですか。よかったです。」

「こっち出てきて。」

「!?なっ、なんでですか!?」

「いいから早く。」

責めるように言われる。

───『俺の体見たんだから更科も見せて。』とか!?いや、まさか明日先輩がそんなこと言うわけないよね・・・東雲(しののめ)くんなら言いそうだけど。そう言えば彼の方は今どうなってるのかな・・・や、今はそれどころじゃない。

ドキドキしながらドアを開けた。
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