来る日も来る日もXをして
明日先輩は私の髪を撫でながら角度を変えて口づける。そしてごく自然に私の口の中に入ってきた。

「ん・・・。」

無意識に声が漏れてしまい、それがよりふたりの気持ちを高ぶらせる。

心の底の方で冷静な私が何かを叫んでいるようだが聞こえない。いや、聞こうとしていないのだ。先輩の動きに応える私にはもはや何の思考もなかった。


「・・・ごめん。」

唇が離れた後、明日先輩はしゃがみこみ私を見つめて謝ってきたが、恥ずかしくて『謝ることないですから。』と目を逸らしてしまう。

「今のも、衝動的に・・・。」

「だから、いいです。」

「その・・・応えてくれて嬉しかった。」

「~っ!!」

もう顔を覆わずにはいられなかった。今になって心の底にいた冷静な私が浮上して来たのだ。

「シャワー浴びてくる。先に寝てて。」

先輩が行ってしまうと我に返って急いで布団に潜る。シャワーの音がやたら耳について眠れない。いや、眠れないのはそのせいではなかった。

───舌、絡めちゃった・・・。

暗い布団の中であの温かく濡れた官能的な感触が私の意識を支配していく。それに悶えているうちにいつのまにかシャワーの音はドライヤーの音に変わっていた。

視界が明るくなり、布団の中に冷気が入ってきた。円形の布団に明日先輩は私とほぼ対角線上に寝ているようだ。時計で言うと、短針の私が5、長針の先輩が12の位置にいて、ふたりで5時を示しているような感じだ。

ふいに先輩と足が触れた。
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