来る日も来る日もXをして
「冷たいな・・・。」

明日先輩のつぶやきが聞こえたと思うと、突然足が温かくなった。

「な、な!?」

布団をまくって確認すると、先輩が両手で私の足を温めていた。

「ごめん、起こしちゃった?俺の手、温かいから。」

「そっ、そんなことしなくていいですから!」

血のめぐりがよくない私はいつも足が冷たくて眠れないので家で寝る時はもこもこの靴下を履いている。この時期いつも会社にはスカートの下に発熱素材の厚手のタイツを履いて行っているから普段だったらそれを履けたけれど、今日は東雲くんと対峙する為にパンツスーツを着ていてストッキングだったので、寝る時は裸足だった。

そして実はバスローブの下は上下とも下着を身につけていなかった。シャワーを浴びた後にまた同じ下着を身につけるのはどうしても抵抗があった。タイツ・靴下ならギリギリOKなのだけれど。なのでお風呂で下着を洗ってクローゼットに干しておいたのだ。恐らく始発までに完全には乾かないので少し早く起きてドライヤーで乾かすつもりだった。

本当は新幹線から在来線に乗り換える時に改札を出るのでコンビニで下着を買っておけばよかったのだ。このホテル付近には深夜までやっているコンビニはないが、新幹線が止まる駅になら24時間営業のコンビニもあったに違いない。とにかく少しでも東京に近づくことしか考えていなかった。

───先輩が私の足の下にいる!どうしよう、下手したら見えちゃう!
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