来る日も来る日もXをして
「!?!?」

───さっきの続き・・・バスローブの紐を解いた後の・・・。

その後のふたりを想像してしまう。

───続き・・・してもいいですよ・・・いやいや!そんなこと言えるわけない!

「・・・俺今日出張の後処理とかで帰り遅くなりそうだし、明日の土曜日大人でいられるから・・・よかったら予定変更して明日出かけない?」

「・・・え。」

───そ、それって休日デート?いや、私がキスに協力してるからそのお礼、だよね。食事だってそうだったんだし。

そう思うと心がチクチクする気がするのはなぜか。いや、本当はわかっている。

「ごめん、調子乗った。忘れて。あ、車内販売来た。何売ってるかな。」

通路側の明日先輩が少し身を乗り出した。その服の袖を引っ張る。

「・・・行きたい・・・です。」

気持ちは複雑だったけれど、行きたい気持ちが勝ってしまった。

「ほんと!?」

先輩がぱああと明るい表情になり、胸がとくん、とする。

───やばいな、これ。私、本格的に明日先輩のこと・・・でもたった一週間でこんなに・・・やっぱり先輩が言うように『擬似的な気持ち』なのかな・・・。


その後、車内販売のお弁当を買って食べながら明日の計画を話すのはとても楽しかった。

───擬似的なものなのかどうかなんて気にしないで楽しめばいいのかも。

新幹線が東京駅に着く。一度帰宅して着替えてから出社だ。明日のことを考えてピンポン玉のように軽やかに弾む気持ちで在来線のホームを目指していると、その気持ちをスマッシュで床に叩き落とすような人物が目の前に現れた。
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