【設定②】わたしが初めて恋をした話。
ライブの打ち上げ


 それから月日は流れて――三月。

 私たちの卒業式を二週間後に控えているが、今日は合同ライブ当日だ。照明担当の蓮さんと会えるかなって思っていたが、会う時間なんてあるわけない。
「美宙ちゃん〜喉乾いた」
「えっ、はいっ! どーぞ」
「赤西先輩っ……グッズが、なくなってしまいそうなんですが在庫ってどこですか?」
「あぁ! 今、持っていくわね!」
 とっても、忙しい。
 私は、衣装確認やら舞台メイクを彼らに施して彼らの体調管理を行うことが仕事だ。だけど、一年生が担当している物販や裏方の助手をしなくてはいけないので走り回っている。どうしてこんなに忙しいんだ!と叫びたいくらい……そんなことを考えているうちに彼らの出番が来て舞台まで付き添うと、ステージ横で見守る。この時間が唯一の休憩時間だ。


< 17 / 34 >

この作品をシェア

pagetop