【設定②】わたしが初めて恋をした話。
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「では、お疲れ様でした」
ライブが終わった翌日。三年生だけで打ち上げをしようと企画し、カラオケに来ていた。なぜ、打ち上げでも歌うのか……と思ったが、それはそれでこれはこれ、らしい。卒業が近いし、参加人数は少ないけれど。
「美宙、お疲れ〜」
「あ、ユミ。お疲れ様」
「なーに真剣にみてるの?」
ユミは隣に座り、テーブル上のポテトを食べ始めた。
「お父さんから、数名動画取ってこいって……ほら」
「あースカウト候補」
「うん。今回は、事務所が決まってない人限定でね。大手だからって、契約金とか色々めんどくさいからね」
「あはは、現実的」
「まぁ、ビジネスだから。あっ、西くん歌うみたい。撮ってくるわ」