【設定②】わたしが初めて恋をした話。



 緊張で吐きそうになっていると、ポケットに入れていたスマホが震えて取り出すと【着信:蓮さん】と表示される。

「も、もしもしっ……」
「もしもし。美宙ちゃん、おはよう」
「おはようございますっ! 蓮さん」
「今日は卒業式だよね。卒業おめでとう」
「ありがとうございますっ……電話、嬉しいです」


 わざわざしてくれたことが本当に嬉しい。本当に優しいなぁ


「代表スピーチあるんでしょ、頑張ってね」
「はい……ガンバリマス」
「緊張してんの? 美宙ちゃんなら大丈夫だよ。きっと上手く言えるから」
 いろんな人から頑張ってと言われても緊張が増していたけど、なんだか蓮さんに言われるととても安心するしホッとする。


「じゃあ、もう切りますね」
「あぁ、そうだね……そうだ、美宙ちゃん。今日、どこかで会えないかな?」
「えっ、あ、会いたいです! 蓮さんに私も、会いたいです」
「よかった。じゃあ、卒業式が終わった頃に連絡するね」

 蓮さんと電話を切るとスマホを抱きしめると、顔が緩んでしまうのを抑えて私は教室に戻った。



< 26 / 34 >

この作品をシェア

pagetop