【設定②】わたしが初めて恋をした話。
リハーサルは順調に進み、予定していた時間よりも早く終わった。
「お疲れ様です」
「お疲れ〜」
出演者やスタッフが挨拶を交わしながらスタジオから出て行く中、私も片付けをしているスタッフさんに声をかけた。
「あの、すみません」
「はい?」
「この機材ってどうすればいいんですか? いつもどこに置いてるのか分からなくて……」
そう言って指さしたのは、今私が立っている場所から少し離れたところにある機材だ。
これは、以前私が間違えて壊してしまったもので、そのせいでスタッフさんに迷惑をかけてしまった記憶がある。
「あぁ、それね。それは――説明するより一緒に行こうか」
「いいんですか?」
「うん、全然。今は少し時間余裕あるし……行こう」
スタッフさんは他のスタッフさんに声をかけると「こっちだよ」と言って一緒に機材も持ってくれて置く場所まで連れて行ってくれた。