暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「申し訳ありませんでした」
習慣になった三時のコーヒーの時間、私は副社長のデスクの前に立った。

何が?と言いたそうに、副社長が首を傾げる。

「課長に言われたことです。最近確認作業を怠っていましたし、間違いを指摘されることも増えていましたから」

もちろん社内でのことだし、その都度対応はしていたけれど、よくない傾向だなとは感じていた。

「言わせない空気を作っていたのは俺だろ?」
「それは・・・」

イライラしていて機嫌の悪い副社長に声がかけられなかったのも事実。でも、私にだって怒るとまではいかなくても副社長に対する不満があった。
きっとそれが態度に出ていたんだろう。

「私の態度も反抗的だったのだと思います」
「そうか?」
「はい、たぶん」

秘書して、感情は押さえ仕事に徹するべきだった。

「これからはできるだけ怒らないようにするから、何でも言ってくれ」
「はい」

この「できるだけ」っていうのが曲者だともうけれど、今はこれで良しとするしかないだろうな。
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