暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「おかえり」
「ただいま。美愛起きていたの?」
時刻は日付が変わって午前一時。
我が家もすっかり静まり返っている中、音をたてないように階段を上がり自分の部屋まで来たところで声をかけられた。
「ちょっとお昼寝し過ぎたみたいで眠れなくてね」
「そうなの。体は大丈夫?」
「うん、平気よ」
もともと私よりもずっと頭のいい美愛は入退院を繰り返しながらも大学の英文科に進学し、私より二年遅れて卒業した。
さすがに外に仕事に出ることはできないけれど、自宅で翻訳の仕事をしながらちゃんと自立もしている。
「せっかく退院できたんだから、無理しないでよ」
「わかっているわよ」
こうして美愛が家で元気にしてくれるだけで、我が家は幸せだと思える。
父さんも、母さんも、もちろん私も、美愛の体を本当に心配しているんだから。
「ところで、今日はずいぶん遅かったのね?」
「ああ、うん。アメリカとのウェブ会議があってこんな時間になったのよ」
「へー、忙しいのね」
忙しいかと言われれば、確かに忙しい。
でもそれは副社長がって意味で、私はいてもいなくても変わらない気がする。
せめて私に美愛くらいの語学力があれば、もう少し役に立てるのに。
副社長の有能さを見せつけられたから余計に、私は自分のふがいなさに落ち込んでしまった。
「ただいま。美愛起きていたの?」
時刻は日付が変わって午前一時。
我が家もすっかり静まり返っている中、音をたてないように階段を上がり自分の部屋まで来たところで声をかけられた。
「ちょっとお昼寝し過ぎたみたいで眠れなくてね」
「そうなの。体は大丈夫?」
「うん、平気よ」
もともと私よりもずっと頭のいい美愛は入退院を繰り返しながらも大学の英文科に進学し、私より二年遅れて卒業した。
さすがに外に仕事に出ることはできないけれど、自宅で翻訳の仕事をしながらちゃんと自立もしている。
「せっかく退院できたんだから、無理しないでよ」
「わかっているわよ」
こうして美愛が家で元気にしてくれるだけで、我が家は幸せだと思える。
父さんも、母さんも、もちろん私も、美愛の体を本当に心配しているんだから。
「ところで、今日はずいぶん遅かったのね?」
「ああ、うん。アメリカとのウェブ会議があってこんな時間になったのよ」
「へー、忙しいのね」
忙しいかと言われれば、確かに忙しい。
でもそれは副社長がって意味で、私はいてもいなくても変わらない気がする。
せめて私に美愛くらいの語学力があれば、もう少し役に立てるのに。
副社長の有能さを見せつけられたから余計に、私は自分のふがいなさに落ち込んでしまった。