暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「それで、実際の所綾香さんと結婚するつもりがあるのか?」
それまで上司として接し、敬語で話していた課長の口調が変わった。
「ないな」
「じゃあ何で」
そこまで口にして、課長の言葉が止まった。
相手の気持ちに気づいていながら、イエスもノーも言わずに放置するのはずるいと思う。
ましてや誘われれば一緒に食事にも行っていたし、近づいてくる綾香さんを拒否することもしなかった副社長の本心が私にはわからない。
「どうするつもりだ?」
すっかり親友の顔に戻った課長が、呆れたように投げかける。
「何もしない」
「それじゃあ白鳥家の言いたい放題になるぞ」
「かまわないさ」
すごいな、この強さは何だろう。
あたふたしている課長に対して、話は終わったとばかりデスクに向かう副社長。
その様子を見ながら、私は一条創介という人の強靭さを感じた。
高いプライドと自尊心。
時には暴君にさえ見える強さは、人の上に立つ者に備わるべきものなのかもしれない。
今の創介副社長の姿は、一条コンツェルン継承者として人一倍己を律して虚勢を張っているように見た。
「ノーコメントで通せばいいんだな?」
「ああ」
黙っていればいつかは収まる。
それが事実無根ならなおさら時間が経つのを待つしかない。
ただ、問題なのはこれが白鳥家の仕組んだものだってこと。
もしそうなら何か手を打たなければ事態は好転しないし、このままでは白鳥家の思うままになりかねない。
それまで上司として接し、敬語で話していた課長の口調が変わった。
「ないな」
「じゃあ何で」
そこまで口にして、課長の言葉が止まった。
相手の気持ちに気づいていながら、イエスもノーも言わずに放置するのはずるいと思う。
ましてや誘われれば一緒に食事にも行っていたし、近づいてくる綾香さんを拒否することもしなかった副社長の本心が私にはわからない。
「どうするつもりだ?」
すっかり親友の顔に戻った課長が、呆れたように投げかける。
「何もしない」
「それじゃあ白鳥家の言いたい放題になるぞ」
「かまわないさ」
すごいな、この強さは何だろう。
あたふたしている課長に対して、話は終わったとばかりデスクに向かう副社長。
その様子を見ながら、私は一条創介という人の強靭さを感じた。
高いプライドと自尊心。
時には暴君にさえ見える強さは、人の上に立つ者に備わるべきものなのかもしれない。
今の創介副社長の姿は、一条コンツェルン継承者として人一倍己を律して虚勢を張っているように見た。
「ノーコメントで通せばいいんだな?」
「ああ」
黙っていればいつかは収まる。
それが事実無根ならなおさら時間が経つのを待つしかない。
ただ、問題なのはこれが白鳥家の仕組んだものだってこと。
もしそうなら何か手を打たなければ事態は好転しないし、このままでは白鳥家の思うままになりかねない。