暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
「これからは綾香さんが来ても通さないでくれ」
「いいんですか?」

それが副社長らしいやり方だとわかっていても、つい聞き返してしまった。
だって、あの綾香さんがこのまま黙っているはずがない。
今回の件が白鳥家の企みだとしても、綾香さんの独断だとしても、おとなしくフェイドアウトしてくれる気がしない。

「白鳥家には俺から話をしておくから、電話も取り次ぐ必要はない」
「承知しました」

どうやら綾香さんとは本当に何もないらしい。
そのことにホッとしたような気持ちと、ここまで頑なな創介副社長が好きになる人がどんな女性なのかが気になった。
そして、思い出すのは美愛の言葉。
あの日から、私は創介副社長のことを意識するようになっている。
普段は強い言葉と俺様な態度ばかりが目に付くけれど、実際は誠実でまじめで嘘をつかない人なのだとわかった。

「何かあればすぐに言ってくれ」
「はい」

このまま綾香さんがおとなしく引き下がるはずがないと、副社長もわかっているらしい。
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