暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る~花嫁候補のようですが、謹んでお断りします~
今まで叱られることはあっても、褒められた記憶はない。
仕事に不慣れな新人秘書はさぞかし役に立たないのだろうなと、自分でも思っていた。
だからこそ、間違いを指摘されても、やり直しを命じられても、不満に感じたことはない。
むしろ力量不足な私を使い続けてもらっていることに感謝をしていたのに、こんなに優しい言葉をかけてもらえるなんて想像もしていなかった。
「どうした?やっぱりどこか悪いのか?」
「違います」
そうではありませんと否定した私の顔を、近づいてきた副社長がじっと見つめている。
その表情にはどことなく疲れが浮かび、いつもの覇気が感じられない。
心配だなと思いながら、いつも以上に至近距離にある整った顔を私も見つめ返した。
「キス、してもいいか?」
突然聞こえてきた幻の声。
「はい」
意識のはるか遠くの方で、私は答えていた。
んん。
次に感じたのは柔らかさと温かさ。
それは創介副社長の唇だった。
呆然としている私の肩に両手が回され、ギュッと抱き寄せられた感覚。
いつもは残り香でしか感じたことのない柑橘系で爽やかなコロンの香りが、私を包み込んでいく。
仕事に不慣れな新人秘書はさぞかし役に立たないのだろうなと、自分でも思っていた。
だからこそ、間違いを指摘されても、やり直しを命じられても、不満に感じたことはない。
むしろ力量不足な私を使い続けてもらっていることに感謝をしていたのに、こんなに優しい言葉をかけてもらえるなんて想像もしていなかった。
「どうした?やっぱりどこか悪いのか?」
「違います」
そうではありませんと否定した私の顔を、近づいてきた副社長がじっと見つめている。
その表情にはどことなく疲れが浮かび、いつもの覇気が感じられない。
心配だなと思いながら、いつも以上に至近距離にある整った顔を私も見つめ返した。
「キス、してもいいか?」
突然聞こえてきた幻の声。
「はい」
意識のはるか遠くの方で、私は答えていた。
んん。
次に感じたのは柔らかさと温かさ。
それは創介副社長の唇だった。
呆然としている私の肩に両手が回され、ギュッと抱き寄せられた感覚。
いつもは残り香でしか感じたことのない柑橘系で爽やかなコロンの香りが、私を包み込んでいく。