暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る～花嫁候補のようですが、謹んでお断りします～

「医者へ行くか？」
「大丈夫です。もし行くなら自分で行けますので」
「自分でって、フラフラしてまともに歩くこともできない奴がどうやって行くんだ？」
「それは・・・」

俺だって病人をいじめるつもりは無い。
優しくしてやろうと思うが、なぜかこんな時のこいつは俺を苛立たせる。

「ホテル常駐の内科医がいるから診察を頼もう」
「あの、本当に大じょ」
「ああ、もういい。『大丈夫』は禁止だ。今度言ったらその口を塞ぐぞ」
「副社長」
「役職で呼ぶなと何度も言ったよな。二人の時は創介でいい。今後誰もいない場で副社長と呼ぶたびにペナルティーだからな」
「そんな・・・」

困り果てて目をキョロキョロとさせている彼女がなぜかかわいい。
今まで一度だって秘書を女性としてみたことはなかったのに、いつから俺は彼女のことをそんな風に見るようになったのだろうか。

「とにかく診察を頼んでくるから、少し横になっていろ」
「はい」