暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る～花嫁候補のようですが、謹んでお断りします～

ピンポーン。

先日家の前まで来たおかげで、迷うことなく望愛の家に到着し、玄関のチャイムを鳴らした。

「はーい」
中から聞こえてきた女性の声。

ガチャッ。
すぐに玄関が開いた。

ドアを開けたのは50代に見える女性。
どうやらこの人がお母さんのようだ。

「すみません、私望愛さんの勤務先の者で、一条創介と申します」
「わざわざすみません。どうぞおあがりください」
「はあ、ではお邪魔します」

本当は玄関で荷物だけ受け取って帰るつもりだったが、お母さんにしてみればいきなり現れた男に娘の着替えを託すことに不安があったのだろう。
どうぞとすすめられれば俺としても断ることはできず、家の中へお邪魔することになった。


通されたリビングには、50代に見える男性と望愛よりも一回り以上小さな女性がいた。

「望愛がご迷惑をおかけしてすみませんね」
「いえ、こちらこそ突然お邪魔してすみません」

荷物の準備はもうしばらくかかるようで、俺はリビングのソファーでお父さんと妹さんと向かい合った。