暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る～花嫁候補のようですが、謹んでお断りします～

「間違いなく出荷されたんですよね？」
珍しく、課長が余裕のない表情で詰め寄っている。

「ああ。今回は船便を利用していくつかの港を経由し十日後に横浜に着く予定だった。出向時にはコンテナの確認をしているから寄港先のどこかで消えたと思うんだが、それ以上のことは不明だ」
「そんな・・・」

もちろん、こんな時のために荷物には保険がかけられている。
保険が下りれば、会社として損失が出ることは無い。
しかし、取引が始まったばかりのブランドの商品を紛失して、すぐに変わりの商品が揃えられるとは限らない。
それだけの数をそろえるのは、ブランド側としても簡単な話ではないだろう。
そしてもしオープンまでに商品がそろわなければ、ショップを開けることができない。
すでに大々的に発表してしまっている手前、ホテルにとっても相当な痛手になるだろう。