暴君CEOの溺愛は新米秘書の手に余る～花嫁候補のようですが、謹んでお断りします～

「ショップのオープンまでに商品をそろえられたら、今回のことを許してあげてもらませんか？」
すぐにでも動きだしそうな創介さんを止めて、私は提案をした。

「それは・・・」
なぜか、創介さんが唸ってしまった。

「坂本さん、それは簡単なことではないよ」
「わかっています」

それでも、今は他に方法がない。
ショップがオープンできなければ創介さんの責任問題になるかもしれないし、そうなれば嫌でも事件は露見する。
であるならば、事件の首謀者である圭史さんに責任をとってもらうのが一番いい。
一か八かの賭けではあるけれど、今はわずかな可能性を信じるしかない。

「圭史、できるのか？」
それでもまだ課長は不安そうだ。

「ああ、何とかする」
「簡単じゃないぞ」
「わかっているさ。龍ヶ崎の私財投げ打ってでも買い集めてくる」
蒼白だった圭史さんの顔に赤みが戻り、その言葉からも力強さが感じられた。

このまま事件を公にしたところで、創介さんにとっても一条家にとってもメリットは一つもない。
それどころかみんなが悲しい思いをするだけだ。
であるならば、圭史さんに償ってもらう方がいい。

「今回だけお前を信じるからな」
創介さんも、やっと納得してくれた。